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第11話 コンビニ
学校の帰り道、手を繋いで二人で歩いていた。
コンビニの前に通りかかった。
最初に会ったあの場所だ。
「最初、親切な人だなって思ってた」
「うん。それ僕も思った」
島村くんの家は私の家から近くて、だから偶然コンビニで会ったのだろうか。
知らないうちに、道ですれ違っていたのかもしれない。
「そういえば、由梨が最近ゲーム機欲しいって言ってるの。親が困ってるみたいで・・」
「へえ~そうなんだ何で?」
「島村くんの妹さんと、島村くんの家でよくゲームしてるみたいで・・」
「えっ、全然知らなかった」
そういえば妹が、誰かと遊んでいるのを見かけた気がしたけど、あの子は由美の妹さんだったのか。
「家に最初に行った時、妹の由梨見たと思うんだけど・・」
「ごめん僕、人の顔覚えるの苦手なんだよね」
「そうなんだ、意外・・島村くんて何でも出来るイメージだから」
「そんな事ないけど・・・」
島村くんは頭を搔いて、私の目を真っすぐに見つめた。
「・・せっかく付き合っているんだし、日下さん、僕の事樹って呼んで欲しいな」
「え?」
「・・・い、樹くん」
私は顔が真っ赤になった。
隣で樹くんが、優しく微笑んでいる。
「由美・・ずっと名前で呼びたかった」
樹くんの顔が私に近づいてきた。
私は目を閉じる。
「すみません。ここは公共の場?なので他所でやってくれませんかね」
コンビニの外で見知った眼鏡の女子が現れた。
最近、友達になった今井さんだ。
コンビニ従業員の制服を着ていて、外のゴミを片付けようとしている所だったようだ。
「・・あれ?」
「このコンビニ家の店なんで。今日はお手伝いしてるんだけど・・」
コンビニは今井さんの実家の店だったみたいだ。
私達は顔が真っ赤になった。
滅茶苦茶恥ずかしい。
「僕の家行こうか」
「ああ、うん」
私は樹くんに、手を引かれ樹くんの家に行く。
またバニラちゃんに会うのも、まったり出来ていいかもしれない。
ふわふわ、もこもこが良い感じなんだよね。
「今何考えてた?」
「バニラちゃんのこと」
「やっぱり・・あれ、オスだからな・・あれでも。猫に嫉妬してるとかどうかしてるだろ僕・・」
「今、何か言った?」
「ううん。何でもない」
しかし世の中狭いなぁ。
コンビニが今井さんの家のお店だとか。
次の日、私は散々今井さんに聞かれた。
日下さんて島村くんと付き合ってたの~とかどうやって出会ったとか、諸々・・。
年頃の女子だし興味があるよね。
今井さんは今の所、二次元の彼氏(マンガ)に夢中だとか。
それはそれでいいんじゃないかな。
後でお勧めのマンガを教えてもらおう。
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