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第3話 友達
マラソン中に、(もう歩いているけど)話しかけてきたのは島村くんだった。
私は驚いて口を開けていた。
「あ、急に驚かせちゃってごめんね。つい声をかけたくなっちゃって、じゃあね」
私に、手を振って先を行く島村くん。
あ~びっくりした。
「へえ~日下さんて島村くんと仲良いの?」
「知り合いなんて生意気なんだけど」
前を歩いていた、クラスメートの女子二人から声をかけられた。
「・・仲良くない」
「何だ、日下さん声出せるんじゃん。声出ない人かと思ったよ」
クスクスと笑われる。
いつもの事だ。
私は無視して、走り出した。
**
「お昼休みだ~」
私は給食をさっさと食べて、中庭の花壇の所に来た。
ここが私の癒しの場所なのだ。
花はいつもきれいに咲いてるな。
しゃがんでマリーゴールドの花を見つめる。
にゃ~。
猫が一匹やってきた。
茶トラの猫だ。
「いいお天気だね」
猫の背中を撫でて、私は話しかける。
「ん?そうなんだ。困ったことがあって?それは大変だねぇ」
最近茶トラの猫さんは、男の子に苛められているらしい。
野良猫だから仕方ないのかな・・。
私にはどうにもできないや。
「いい方法が見つかるといいね。私の家にはすでに一匹いるから飼うのは無理かな。ごめんね」
「誰と話してるの?」
ぎょっ!
誰かに見られた?
後ろを向くと、島村くんがいた。
「独り言だよ」
「へえ~そうなんだ。猫と話してるように見えたけど?」
あれ・・何かバレてる?
いやいや、私の能力バレることはないか。
「猫好きなんだよね。家で飼っていて・・」
「そうなんだ!日下さんの猫ちゃん是非見てみたいな」
え~。
まさか家に来たいだけでは・・。
私は島村くんを見た。
彼は意外と女子に人気があるらしい。
無口だが、優しくて癒やし系だからとか。
まあ、好みは人それぞれだからね。
「えっと、友達になってくれないかな」
「友達?」
「そう友達。良いよね?」
「・・まぁいいけど」
私は、意外な提案をされて少し戸惑った。
スマホでライン交換をした。
学校で友達登録したのは初めてだ。
**
「日下さん、今日ひま?」
前の席の川浦さんが声をかけてきた。
いわゆる陽キャで、化粧をしてお洒落をしている女子だ。
今も、机の上に座り足を組んで手鏡を覗き込んでいる。
正直少し苦手だ。
「掃除当番変わってほしいな」
いつも変わってという割には、私の時には変わってくれた記憶は無い。
「今日用事できちゃってさ、忙しくないなら出来るよね?」
何だか逆らうと怖いので、掃除当番を仕方なくやっている。
「そういえば、日下ってさ、島村くんと仲良いの?小学校の時の事、憶えてるよね?まさか、変な気はおこさないでよね」
小学生の時、クラス中から苛めにあってから人と関わるのが怖くなってしまった。
今でも原因はわからない。
昨日まで仲良かった子が一斉に無視をした。
それから、友達を作ろうとは思わなくなってからいつも一人だ。
変な気って、島村くんか・・何を勘違いしてるんだか。
「掃除すればいいんでしょ」
「そうそう。じゃよろしくね~」
今日は教室の掃除だっけ。
私はしぶしぶ掃除を始めた。
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