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第5話 猫友
「みんな、こんなのやってたんだね・・」
私はラインの慣れないやり取りで疲れてしまった。
『おやすみなさい』
と、かわいい猫のスタンプを入れてきた。
猫が好きと言ったから、使ってくれたのだろう。
「おやすみなさいっと」
友達かぁ。
前はいたけど、今いないからよく分からない。
そもそも距離感がわからない。
島村くんは男子だし。
「私の事好き~とかまさかね」
****
「日下さん」
それから、島村くんはいつも私の所に来るようになった。
教室で隅っこに座っている私を見つけ、教室に入ってくる。
それはいいんだけど。
女子たちの視線が怖い。
何だか私睨まれているような?
教室出たほうがいいかもしれない。
私は教室を出た。
島村くんが隣を歩いている。
「別に教室でも良かったのに・・」
「ん~ちょっと居づらいからね」
**
廊下を歩き中庭に出た。
「やっぱ花壇が落ち着く~」
爽やかな外の空気を吸う。
「私ね、友達いないんだ。はずかしいけど。だから逆に目立っちゃうんだよね・・島村くん最近よく来るけど、他のお友達とかいいの?」
「僕が日下さんに、会いたくて勝手に来てるだけだから気にしないで」
「そ、そっかぁ」
顔が熱くなる。
会いたい・・って。
勘違いしちゃうじゃないか。
友達に会いたいっていう意味で言っているだけだよね。
にゃ~
茶トラの猫が歩いてきた。
「こいつ最近学校でよく見かけるんだよな」
島村くんは猫の頭を撫でた。
「猫好きなの?」
「あ~言ってなかったっけ?僕の家も猫飼ってるんだよ」
「へええ。どんな子かな?見たいかも」
「今度、家来る?」
****
どうしてこうなったのだろう。
休日に、私は島村くんの家の前にいる。
友達だよね?
男子の家に行くって、彼女を紹介するとかそういうシチュエーションを想像してしまう。
考えすぎかな?
間違っていないよね?
幼馴染なら友達としていくのは、ありのような気がするんだけども。
私の服装は普段通りのパーカーにTシャツとGパンのラフな格好だ。
「あ、あのっ」
「どうしたの?」
少しの付き合いだが、多分下心は無いとは思う。
思うんだけど・・。
「妹も一緒にいいですか?」
不安だった私は、思わずそう言ってしまった。
「え?」
島村くんは目を見開いている。
「そっか、妹さんも猫見たいよね・・」
私は電話して妹を呼び出した。
今日は買い物するって言ってたっけ、邪魔してごめん。
「なあに急に呼び出して・・買い物してたのに・・って」
今日もしっかりお化粧をして、白いブラウスに紺色の可愛いスカートを穿いた妹が到着した。
手にはしっかりと、紙の買い物袋を持っている。
私は由梨に耳打ちした。
「ごめん、島村くんに家に来ないかって言われたんだけど、一人だと入りずらくて・・」
「そういうことね。今日だけよ」
由梨と島村くんは、玄関で挨拶を交わしていた。
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