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第7話 デート?
私は、駅のロータリー近くのベンチに座っていた。
昨日島村くんに誘われて、一緒に映画を見に行くことになった。
「日下さん、待った?」
私を見つけて小走りで走ってくる。
そんなに急がなくてもいいのに。
今日私は、可愛い水色のワンピースを着ていた。
「私はさっき着いたところだよ」
「そっか、よかった」
島村くんは、私の顔を見て笑った。
腕時計で時間を確認する。
「まだ、上映まで時間があるみたいだけど、お茶でも飲んでいく?」
「うん。そうだね」
今日は初めての事ばかり。
何でこんなに楽しいんだろう。
カフェに入り、向かい合わせに座った。
午前中の早い時間だからか、お客さんもまばらだ。
「最近ね・・楽しいかも。島村くんのお陰だよ」
「そっか。それは良かった・・」
温かいカフェオレを一口飲んで、彼を見つめた。
「島村くんは?」
「えっと、僕は・・」
私に言われて、彼は俯いていた。
いつも笑顔だから楽しいとは思うのだけど。
顔が赤く、もじもじしていた。
「・・・き」
蚊の鳴くような小さい声で彼は言った。
私は島村くんの口を見た。
「き?」
「日下さん・・好き、だから凄く楽しい」
「え・・」
島村くんの顔は真っ赤になっていた。
顔を両手で隠している。
彼の意外な表情を見て、私は内心驚いていた。
男子に言うと怒られそうだけど、かわいいな。
「まだ、言うつもり無かったんだ。友達って言ってたから、だけど抑えきれなくなっちゃって」
「やっぱり・・そうだったんだ」
「気が付いてた?」
「何となくだけどね。私にめっちゃ優しいもんね」
何だか、映画どころでは無くなってしまったみたいだ。
追加でアイスティーを二人分注文した。
「日下さん・・映画始まっちゃったね」
「そうだね~しばらく街を歩いてく?」
「うん」
街路樹は寒々としている。
私と島村くんは、仲良く手を握って歩き出した。
もう少ししたら、映画も沢山上映されるだろう。
そうしたらまた来ればいいかな。
****
「川浦さ、あれ島村くんだよね?一緒にいるのは日下じゃね?」
ワタシは友達と街に遊びに来ていた。
たまたま目の前を日下が通り過ぎたのだ。
ニコニコして仲良く歩いてるのが見える。
「本当だ。わざわざ忠告してやったのにな。馬鹿じゃないの」
「呼び出して、やっちゃおうか?」
「それ、いいかもね」
学校での予定が決まった。
日下は放課後に、校舎裏に呼び出すとしよう。
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