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「いやあ。でも、まさか、近藤が恋ねえ……。片思いかあ。おばさん、キュンキュンしちゃった」
「おばさんって年齢でもないだろう」
食器を洗い始めた天谷が、ふと口にする。
「ところで」
「うん? なあに?」
「その近藤と遠藤は、受け持っている生徒なんだよな」
「うん。そうだよ」
「それじゃあ、今日みたいなシーンにまた出くわすかもしれない、ってことじゃないか?」
「あはは。それはどうだろう。そんな都合良く、エモくてキュンキュンしたシーンに、ばったり遭遇するとは思えないけれど」
「わかんないぞ。もし、そういう場面に鉢合わせしたら、にやけずにいろよ? あくまで教師。そこんところを、な?」
「……そう、だね。うん。わかった」
自重します、と笑って話す山田。このときの山田は知らなかった。これから起こるキュンに、耐え忍ぶことを。
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