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春。出会いと別れの季節。
卒業式が終わり、学校の外では写真撮影が行われている。涙を流す家族や笑顔の生徒。その中に、遠藤と近藤の姿があった。近藤の家族と思われる男女も見えた。
近くで、里中とお別れの話などをしていた山田は、聞き耳を立てる。
「遠藤の両親は来ないの?」
「ああ。ウチは忙しいから」
と、遠藤は後頭部に手を当てて、平気そうに答えた。
「なんか寂しいね。せっかくの卒業式なのに」
「いいよ、別に。もう中学生だし。それより、本当にいいの? これから近藤の家に行って」
「うん。いいよね、お母さん?」
「もちろん、いいわよ」
「だって。お昼、一緒に食べよう?」
「じゃあ……お言葉に甘えて」
「ふふっ。なにそれ。ぎこちない」
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