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家の仲間
「キノコのスープ楽しみにしてたのに」
「俺の苔ケーキは?」
「キイチゴパイもない!」
「花の蜜ジュースも空っぽだわ」
「うわーん!うわーん!」
楽しみにしていたご馳走が無くて、ついにリス耳尻尾のシュクレが泣き出した。
「シュクレ、泣かないで。私まで悲しくなっちゃう。美味しいご馳走を用意したなんて……とっても酷いウソだわね」
キルシュが羽を震わせ、金色の粉をシュクレに降らせて慰める。
それを聞いてノッポのレフェフリータが黙ったままブンブンと首を振った。
「確かに作ったのよ!レフェフリータと一緒に魔力をたっぷり込めて。ねっ?」
小さなタルトがレフェフリータの手のひらの上で一生懸命弁明し、レフェフリータも無言でウンウンと頷く。
「こいつは誰だ!?」
とんがり帽子の緑のリーキが、並べたベッドを全て占領して寝ている男を指差した。
皆んなでベッドを取り囲む。
「人間だわ」
「人間だね」
「初めて見た」
「初めてじゃないだろ。レイヴィン爺さんも、レフェフリータも元は人間だったぜ」
「そうだっけ?」
「忘れた」
「忘れたね」
レフェフリータは一言も喋らずに首を傾げている。
「俺はわかったぜ」
「何がわかったのリーキ」
リーキが得意気に皆を見回す。
「この人間が俺たちのご馳走を食べちゃったんだ。こいつは、どろぼうだ!」
ドロボウ?
泥棒だって!?
妖精達がざわつく。
「でもどうして家に入れたのかしら。この家には私達の仲間しか入れないはずなのに……」
「見て!ベッドが6つになってる!てことは、やっぱりこの家がこの人間を招いたのよ」
「じゃあ、俺たちの仲間なのか?」
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