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Chapter.0 予告編
治癒師ラファエレは、教会の中で高位の司祭でもあった。それは自らの出自故だと、ラファエレも自覚している。けれど、それ故に立つ瀬がないのも事実で逃げ出すように戦場へ出たのだ。
けでど、そこで知る。穢れが何かを。
この薄汚れた体で、何かを、…あの人の心を望むなんてなんて烏滸がましいのだろう、とラファエレは自嘲気味に笑って、手にしていた手紙を丁寧に畳んだ。
純粋に祝福したい気持ちはあるのに、自分の置かれた立場と比べて羨ましいという気持ちの方が先立つ事実にラファエレは吐き気を覚えた。
…何も知らないままだったら、こんなに苦しまなくて済んだかもしれない。スピネルのように、愛しいという感情に身を任せて相手の心も望んだかもしれない。とラファエレは溜息を吐いた。
少なくともあの日までは、苦痛など感じていなかったし、何の疑問も抱いてはいなかったのだから。
To be continued…
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