〜悠李side〜

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 そうこうするうちに大学生になり、在学中に資格を取るという目標を立てて勉学に励んだ。第一志望に内定をもらい、入社後は仕事に打ち込んで。三年目にアメリカ行きの内示が出た時は単純に嬉しかった。 (新天地へ行けば、今度こそ月葉を忘れられるかもしれない)  しかしまったくそんなことはなく俺はやっぱり一人のまま日本へ帰ることになった。バタバタと引越しを終え、ひと息ついた頃だった。 (はぁ……何かいいことないかな)  そんな時に目に飛び込んできたのがワンドルのライブだ。そういえば、まだ彼らのライブには行ったことがなかった。 (月葉を思い出すからしばらく聴いてなかったけど、懐かしいな。行ってみようか)  チケットトレードに申し込むと幸運なことに当たった。一人で行くのは心細い気もするが、行けば何か変わるかもしれない。  そして――ライブが終わって会場が明るくなった時、俺の心臓は止まりそうになった。まさか月葉と隣の席に座っていたなんて! (嘘だろ? 本当に月葉? めっちゃ綺麗になってる……でも声を掛けてもいいのか? 俺のこと、嫌いなんだよな? 嫌がられたらショックだ。いやでもその前に、覚えてもらえてない可能性もある。どうしよう。どうしたらいい?!)  だけどこんなチャンスはもうないだろう。これを逃せば死ぬまで……いや死んでも会えない。俺は声を掛けようと決めた。さりげなく、今気づいたかのように。 「なあ……もしかして、月葉じゃねぇ?」  俺は、あの時の自分を褒めてやりたい。勇気を出して声を掛けて本当に良かった。だからこそ今の幸せがある。  初めて結ばれた夜、隣ですやすやと眠る月葉を見つめながら俺は心に誓う。  もし君がまた別れようなんて言ったって、もう決して離さないから。覚悟しておいて、月葉。  
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