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そして今日、10万要求されたことに父は限度を超えていると怒りを露わにした。
「……陽子には父さんから言っておく。月葉、もう会う必要はないぞ」
「お父さん、僕もそう思います。月葉さんは優しすぎる。お母さんの嘘をわかっていながら見捨てられないんです。でも……逆に言えば月葉さんもお母さんに依存している」
(私が……お母さんに依存……?)
悠李は驚く私の目を見て頷いた。安心して、というように。
「幼い頃に愛されなかった反動でしょう。お母さんにお金を渡すことで、自分は必要とされていると思おうとしているのではないかと。これを断つには、二度と顔を合わせないことしかない」
父が深く深く頷いた。
「それでなのですが、お父さん。この実家の場所はお母さんも知っているわけですよね。だったら、待ち伏せされる恐れもある。だから、月葉さんを僕の家に匿うというのはどうでしょうか」
「え?」
突然の提案に驚いて私は悠李を見たが、ものすごく真面目な顔だ。そして父もそれを真剣に受け取って考え込んでいる。
「確かにな。何かしらお金を必要としているのなら、それくらいのことはやるかもしれない。悠李くん、お願いしても構わないかい?」
「もちろんです! お任せください」
「よろしく頼むよ、悠李くん」
(……えええーっ!!)
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