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けれど半年経っても二股がバレた気配はなかった。美音も楽しそうに付き合ってる。あの男、浮気がバレないように慎重に振舞っているみたいだ。
そんなある日、美音が私に打ち明けた。
「ひとつだけ悩みがあるんですよね。真吾さん、私を部屋に絶対に入れてくれないんです」
「……それは、もしかしたら他に女がいるのかもしれないわね」
そう不安を煽ると、美音は簡単に信じた。そして、私の勧めた計画に乗って見事に妊娠したのだ。
(若いからすぐ妊娠したのかしら。バカな子よね。二股するような男の子供なんて、私ならごめんだけど)
まあそんなのはどうでもいい。その結果月葉は振られ、一人になった。いい気味だ。あの子が私より先に結婚するなんて、やっぱりどう考えても許せないから。
月葉の落ち込んだ顔も見られたし満足していたけど……今度はだんだん美音がうざくなってきた。会社で幸せアピール、なんなの?
腹立つから無視してるうちに流産した。人を苛立たせるからバチが当たったんだろう。しばらく休んだあと復帰してきたけれど、今度は『私可哀想アピール』がすごい。ただの流産でしょ? また妊娠すればいいじゃない、と言ってやったら暗い顔してた。
そういえば月葉と美音が鉢合わせしたこともあった。月葉がお金を渡しに来た時だ。
ちょっとヤバいかもと思ったけど、その後美音からも月葉からも何も言われることはなかった。サレた側とシた側、どちらも顔をよく覚えていなかったのかもしれない。今思い返すと間抜けなご対面だ。
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