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その後しばらくして、美音から真吾と別れたと聞かされた。
「流産したのに全く寄り添ってくれなかったんです。あんな人と結婚しても幸せになれない、そう思って別れました」
「あらそう。せっかく婚約までしたのにねえ。まあ、まだ若いんだしチャンスはあるわよ」
「そうですね……私も結婚相談所に登録しようかな。先輩、婚活ってどんな感じですか?」
私は先週のデートを思い出して嫌な気分になった。また今回もうまくいかなかったから。「価値観が合わないようです」って断られたけど、お前程度の男に会ってやってるんだからそっちが私に合わせろよってマジで思う。
「そうねえ、あまりいい人はいないわ。先週もぜひにって言われたけどね、断ったところ。断ってばかりなのも申し訳ないけどねぇ」
「そうですか……ところで先輩、ホストクラブって興味あります?」
「ホストクラブ? ないない。あんなの、リアルにモテない女が行くところでしょ? そんなお金あったら、自分磨きに使いたいわ」
「ところが最近そうでもないんですよ。リアルでもモテる女の人たちが逆に通ってるんです。そういう人はちゃんと自分の価値がわかってるから、ホストにハマったりしないんですって。姫扱いされていい気分になる、そこだけを楽しんでるんです。ストレス解消になるみたい」
「ふうん……?」
「私も婚約解消してちょっとストレス溜まってるし……初回なら3000円で行けますから、先輩、一緒に行ってみません?」
(ホストねえ。興味ないわけじゃないけど、一人で行くのも、と思ってたのよね。美音は以前ホストと付き合ってたし、システムをよくわかってるから安心かも)
「そう? そこまで言うなら付き合ってあげてもいいわ」
「ほんとですか? ありがとうございます! じゃあ次のお休みに行きましょうね」
「はいはい」
ずっと男を選ぶ側だった私なら、ホストクラブに行ったって羽目を外すことはないだろう。たまには婚活のことは忘れてパーっと楽しんでこよう。
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