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そして土曜日。北陸新幹線に乗って2時間半、私たちは金沢駅に到着した。
「わー! これ、よく見るよね! 鼓門! 素敵……」
金沢駅のシンボル、鼓門。想像していたより大きくて重厚だ。駅を出て鼓門へと向かう『もてなしドーム』の天井はガラス張りで、雨傘を差し出すイメージなんだそう。雨の多い金沢でも濡れないように、というおもてなしの心なのかな。
「月葉、写真撮ろう」
他の観光客にお願いして、鼓門をバックに二人の写真を撮る。
「月葉、いい笑顔してる。可愛い」
「ありがと。悠李もかっこいいよ」
「え、ほんと? うれし……」
また、痛いカップルになってる私たちだけど。せっかくの旅行だもの、思い切り楽しまなきゃ。
まずはバスに乗って5分ほどにある近江町市場へ。市場ってとにかく歩くだけでもワクワクする。串焼きに蒲鉾、甘エビコロッケにアワビステーキ。食べ歩きにもめちゃくちゃ惹かれるけれど、まずはランチだ。狙うはもちろん海鮮丼! 今なら開店直後だからすぐに入れるかも……と思ったら、どのお店もすでに行列が!
「わぁ……すごいね」
「予約できないから混むのは仕方ないね。とにかく並ぼう」
事前に調べておいた店の前に向かい、列の後ろに並んだ。しばらく待ってようやくご対面した海鮮丼は、ネタも新鮮で大きくて、とっても美味しかった!
満足してお店を出た後はゆっくり歩いてひがし茶屋街へ向かった。石畳と町屋の格子が美しい、金沢といえば必ず紹介される有名な街並だ。
「でさ、月葉……お願いがあるんだけど」
おずおずと切り出す悠李。不思議に思って聞き返す。
「お願い? なぁに?」
「レンタル着物、着てくれないかなぁ……? 着物姿、茶屋街にめっちゃ映えると思うから」
「え……いいの? 一度着てみたかったの!」
「良かった、予約してあるから今から行こう」
(え、予約してくれてるんだ。さすが……私が着たいと思ってたの、読まれてたのかな?)
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