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それは昨日の夜のこと。金沢おでんを堪能したあとに訪れたバーで二杯目のカクテルを頼んだ頃、悠李が少しそわそわし始めた。
『どうしたの?』
『うん……あのさ』
神妙な顔つきでジャケットの内ポケットから何かを取り出す悠李。美しい箱を開けて私の目の前に差し出す。
『月葉、俺と結婚してください』
箱の中にはカラティエのトリニティネックレスが。
『え……もしかして……プロポーズ……?』
『うん。俺、月葉と早く家族になりたい。月葉がいつも幸せでいられるように努力する。ずっと一緒に笑っていてもらえるように。だから……俺のそばにいてください』
(茶屋街での言葉は、やっぱり結婚を考えてのものだったのね……どうしよう、すごくすごく嬉しい。悠李と一緒にいると自分にも価値があるように思える。私なんか、って思わずに自然体でいられる。こんな人は悠李以外いない)
口をきゅっと結んで私の返事を待っている悠李。断るわけないのに、そんなに心配そうな顔をしないで。
私は涙で目が潤んでくるのをこらえながら微笑んだ。
『悠李、私もあなたとずっと笑っていたい。あなたとならきっとそんな毎日が送れると思う。私からも言います。私と結婚、してください』
悠李も、涙をこらえているように見えた。テーブルの上のキャンドルの光が悠李の瞳を揺らして輝いている。
『月葉……ありがとう……』
そして悠李は私の後ろに回り、ネックレスをつけてくれた。ホワイト、イエロー、ピンクゴールドの三連の輪が重なって輝いていてとても綺麗。
『これはね、婚約指輪の約束』
『約束?』
『気に入ったものを選んで欲しいから、指輪は一緒に買いに行こうと思ってる。だからこれは、婚約を承諾してもらえた証のプレゼント』
『嬉しい……ありがとう』
ブランドのアクセサリーを貰うなんて人生で初めての経験だ。もちろん、自分で買ったこともない。私は胸に輝く三つの輪をうっとりと見つめていた。
『よく似合うよ。もっとたくさんプレゼントしたくなっちゃうな』
『悠李、これだけで十分よ! 私にはもったいないくらいだもの』
今回の旅行の代金も全て悠李が出してくれてるのだから。その上こんな豪華なプレゼントをされてこれ以上だなんて、とてもお返しができない。
『何言ってるの、月葉にはもっと似合うものがたくさんあるよ。それに、俺の横にいてくれるだけで十分ご褒美だから。これからホテルで一番最高のものを貰える予定だし』
ニッと悪戯っ子みたいな顔で笑う。
『……っ、また、そんなこと言って!』
『月葉? 顔が赤いよ?』
――もちろん、その夜はいっぱい愛してあげたんだけど……最後は悠李からたくさん奉仕されて気を失いそうになって、私のほうがやっぱり貰いすぎになってしまった――
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