嘘つきのワルツ

10/22
前へ
/22ページ
次へ
講義が終わり、建物の外へ出たら 土砂降りの雨が僕たちを待ち受けていた。 「今日、雨降るって天気予報で言ってた?」 川瀬に訊かれ、静かに首を振る。 「折り畳みならあるよ。それとも戻る?」 「傘、開いて。歩きながら話そう」 川瀬に言われるがまま傘を開くと、 川瀬は僕の肩を抱いた。 「あ、」 そう。 ずっとこんな風に触られたかったのに。 僕は今日、川瀬に別れを告げる。 震え始めた僕に気づき、川瀬が問いかけた。 「寒いの?大丈夫?」 「大丈夫」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加