嘘つきのワルツ

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校門を出る頃には、足元はびしょ濡れ。 川瀬は僕の肩を抱き直すと、 「雨であんまり声は聞こえないかもだけど、 話したいなら話して」 と言った。 「川瀬くん」 「何」 「僕の名前、ちゃんとわかる?」 「え」 「誤魔化さないで答えて欲しいんだけど」 「岸野葵」 「‥‥認識はされてたんだ」 「だって付き合ってるんだろ、俺たち」 「デートさえしてないけどね」 「そんなにデートって大事?」 「川瀬くんは僕のことを好きじゃないから 会いたいって思わないんだよね」 「岸野は」 「何」 「デートで何をしたいの」 「何って、どこか行って時間を共有したい。 2人きりで親交を深めたい」 「なるほどね」
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