0人が本棚に入れています
本棚に追加
悪の組織と人質?
とある番組で悪の組織がヒーローに倒されたと朗報のニュースが流れた。
近年、悪の組織が世界中で悪さをしている。そこで我らがヒーローが悪の手下共と戦い、幹部と戦い、遂に悪の総帥を倒したのである。
世界中がこれに熱狂し、ヒーローを称えた。
しかも人質の救出まで成功し、ますますヒーローの功績を皆は称えた。
しかし、それからしばらく経った後、ある医療関係者達が会見を行なった。
近頃、精神疾患患者が急増し社会問題になっていた。
その原因の実態についてある明確な理由が判明したとのことだ。
一人の患者が会見の席に座り、俯いて話し始めた。
「私はずっと社会に適合できず、家族に迷惑かけ、毎日罵声を浴びせられ、苦しい毎日を送っていました。
そんな時。私を救ってくれたのはあの悪の組織の人達でした。
うちで働かない?と声をかけられて、私も今のままの生活ではいけないと思い、承諾しました。
その日から悪の組織で住み込みで働き始めました。
世間では私達は人質と呼ばれていましたが、私以外にも、家庭に問題があったり、学校でいじめに遭って逃げられなかった子や就職で失敗して引きこもりになってしまった人達を悪の組織は匿ってくれてたのです。
私達の仕事は、主に掃除や炊事や洗濯などの家事でしたが、組織の人達はいつも感謝してくれて、やっと自分の居場所が見つかったと、安心しました。
そんな時にあのヒーローがやってきて、私達の世話をしてくれていた総帥は殺されてしまい、私達は解放という形でまたあの暗い日常に戻されてしまいました。」
嗚咽混じりに涙を流しながら話していた。
「組織が悪いことをしていたのはわかっています。
でもあの場所が私にとって唯一の居場所だったのに....」
会見は静まり返り、みんな眉をひそめて考えこんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!