ただただされるがまま

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 彼の小さな声が私の左耳をかすめる。  ゆっくり耳元から唇を離なしていく。私の視線は、彼の唇を追う。  彼は「しーーーっ」と、溜め息の様に溢して、ゆっくり右の人差し指を自身の唇に当て。そしてニ~三秒経ってから、その人差し指を唇から離し、声を出さずにニッコリ笑う。そんな彼に目が釘付になる。  ニッコリ笑った彼の目尻が思いっきり下がって、第一印象の冷たい感じが一掃される。そんな彼を見て、私の顔・耳、頸が…段々上から下へ末端へ…手先・足先まで赤くなっていくのが意識的に分かる。勿論私の胸の心臓は、赤くなるのと比例して通常より早い速さで動いていく。  
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