今夜のメニューは生姜焼き

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「う、あ……あぁ…」 悲鳴をあげたいが、全く声にならない。 身の毛もよだつ……とは、正にこの事なのだろう。 長い髪がぐちゃぐちゃに絡まった状態でラップにくるまれたソレは、冷蔵庫の明かりに照らされ、鮮明に存在感を放っていた。 大きく見開いたままの瞳が、真っ直ぐに俺を見詰めている。 「あ、ああ………」 冷蔵庫の縁から床へ、ポタリ…ポタリ………と、滴り落ちる血液。 庫内にぎっしりと詰められていたのは、バラバラに切り刻まれた人の体で… 浮気相手のリナ。 彼女の変わり果てた姿だった。 目の前のおぞましい光景に、生暖かい物が股間を濡らした。 カタカタ震えている俺を見て、アイが愉快そうに言う。 「私と違って若いから、おいしいよね?」 アイの目的は、浮気して自分を裏切った俺への報復。 しかも、尋常ではないやり方で。 「因みに、どこの部位か分かる?」 妖しく微笑む口元とは対照的に、冷気を帯びている目。 「カズヤが好きな胸の部分。長年一緒に居ても知らなかったな……胸の大きな子が好きだったなんて」 「わ、悪かった!俺が悪かった!!だから、許して……」 迸る恐怖心により、錯乱状態と化した俺は、ひたすら土下座を繰り返した。
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