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 言いながら、ネイティブの「そうですね」がどんな発音なのか考えるが良く分からない。 「東京? 東京から、ここまでどれくらいかかるものなの?」  僕は実家から飛行機と電車を乗り継いで約二時間と少し程度だと告げた。遠いと言えば遠い。 「遠くから来たのねぇ。一人暮らし?」 「はい。この辺りに知り合いも居ないので」 「偉いねぇ。もう生活にも慣れたの?」  お婆さんは服に張り付いていた雪を払いながら微笑む。 「初めは洗濯とか掃除だとか億劫でしたけど、最近はようやく慣れてきました。あ、あと雪かきも上手くなりましたね」 「偉いねぇ」  最近は褒められる事も無いので、少し気恥ずかしい。それを鼻を掻いて誤魔化した。 「そんな事無いですよ」 「この辺りは何にも遊ぶ所も無いし、退屈じゃない?」  実際のところ、この街には娯楽が少ない。映画館は無いし、ボーリング場も無い。ゲームセンターも無いし、お洒落な喫茶チェーン店は僕が入学する少し前に撤退したそうだ。居酒屋とカラオケはあるが、どちらも個人営業の、入店に些か勇気のいる外装をしている。しかし地元のご老人に面と向かって、不満を言う事も出来まい。 「そんな事無いですよ。自然豊かだし、星も綺麗ですし」 「そう? ねぇ、さっきから気になってたんだけど、貴方痩せてるわよね。ご飯はちゃんと食べてるの?」
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