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降りないといけなくなり、目的地のホームに着くと、君も一緒に降りてきた。僕は拾ってもらったハンカチを君に差し出す。
「これ、もしかして、君の?」
「……はい」
叱られた子供のように俯く君を見て、僕は自分の顔が綻んでいることを感じた。
「ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
君は僕の言葉に心底驚いた様子で「怒ってないんですか?」と聞いてきた。そうか、普通は怒るところなのか。見ず知らずの人から実は落としてもいない自分のハンカチを渡されていたなんて。でもそれは一般論で今の僕とは関係がない。
「怒ってないよ。むしろ、話しかけるきっかけができたから嬉しいと思ってる」
「きっかけ?」
僕はこの一年温めていた思いを口にする。
「雪の降る日にいつも君は僕のそばに現れるから、君が気になって仕方がないんだ」
「……雪の降る日に合わせてあなたの前に現れていたんです」
つまりはそういうことだ。
「じゃあ、責任とってよ」
「……私でよければ」
雪の降る日にいつも君は、僕のそばに現れる。
今は雪が降らない日でも、君は僕のそばにいる。
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