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そしてそのまま、唇が触れるだけの感触。
一瞬のできごと、だけど私にはスローモーションで、バクバクと心臓が忙しく鳴っている。
何が起こったのかはわからない。理解が追いつかない。
「…俺さ、好きな子の前じゃ素直になれねぇの。名前なんて恥ずかしくて呼べない。」
…黒瀬って好きな人いるんだ。
じゃあ今のキスは何?
あからさまにショックを受ける私。
「その様子じゃ誰のことかわかってないみたいだな。」
ニヤッとこうを描く唇。
いつも通りの黒瀬に、ほんの少しの優しさが足されている。
「さくらのことが好きだ。」
そう言ってもう一度、キスをした。
「、ほ、ほんと?」
黒瀬が私のこと好きだなんて…
「何?嘘でいいわけ?」
そのイタズラな笑顔にドキドキは止まらない。
「…いじわる」
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