降り頻る雪は愛の証

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 先輩のことは変わらず、ずっと好きなのに。どうして目を合わせてくれないんですか。先輩とのデートは家ばっかり。どこかに出かけるのに誘うのは毎回私。  なのに、今日は急に出かけると言いだすし、それが、妙に嬉しくて私は舞い上がってしまうし。それでも、先輩はいつもと変わらない。二人で歩いているのが、まるで普通のことみたいな顔をする。  先を歩いて行ってしまう先輩を後ろから追いかけて、声を掛ける。 「先輩」 「いつまで、先輩って呼ぶんだよ」 「じゃあ、快晴、さん?」  先輩は、晴れ男でもないし、どちらかと言えば雪男なのに快晴なんて名前だ。私の美晴という名前と同じ、晴れが入っている。私は、晴れ女だと自負しているけど。  しんしんと降りしきる雪を見上げながら、手持ち無沙汰な右手を握りしめる。手を繋いで歩いてくれることは、相変わらずないし、私たちは恋人同士と胸を張って言えることはあるんだろうか。  学年が一つ上がって、先輩がなかなか大学に来なくなっても、私たちは二人きりで会ってる。かろうじて、恋人同士みたいな頻度で会ってる。だから、やっぱり私たちは恋人、と言えるかもしれない。 「何考えてんだよ」  私の思考を遮ったのは、冷え切った先輩の手。頬だけ真っ赤に染まってる自覚はある。先輩の手を頬から外して、包み込めば私の両手の温度がどんどん先輩に移っていく。  少しだけ動いた拍子にカメラに付けていたペンギンのキーホルダーがカシャカシャと音を立てた。ふわふわのぬいぐるみだから、カメラは傷つかないけどチェーンが当たって音を奏でる。ぺんぎんをじっと見つめるたびにあの日を思い出して、少し切なくなる。  一年以上経ったというのに、私たちの関係性は、こんなにも今までと変わらないのだ。
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