降り頻る雪は愛の証

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 机の上の空いたお皿やコップをまとめて、先輩が移動する準備を始める。私のホットチョコレートは一気に飲めそうにないから、手に持ったままついていくことにした。 「イルミネーション、見に行こう」 「はい、ホットチョコレート持ってるので、残念ですけど手は繋げませんね」  意地悪をしてみれば、先輩の眉毛がしゅんっと下がる。酔ってる先輩を見るのは、初めてじゃないはずなのに。非日常的な空気感のせいだろうか。かわいい。あまりにも、かわいいがすぎる。ホットチョコレートを持っていなかったら多分耐えきれずに抱きしめていた。  人混みをはぐれないように、ゆっくりと移動すればイルミネーションの前は比較的空いていた。光の花が咲き乱れて、私たちの顔を照らしている。 「キレイですねぇ」 「ちょっとそのまま見ててよ」 「はい?」 「いいから」 「はーい」  先輩が何をしたいかはわからないけど、まぁいいか。可愛い先輩が見れたし、ここに連れてきてくれただけで、今日は大満足だし。  少し冷めてきた残りのホットチョコレートを飲みながら、イルミネーションを見つめる。カシャっと聞き馴染みのあるシャッター音が聞こえて、振り向けば先輩はカメラを構えていた。 「写真撮りたくて連れてきたんですか?」 「ううん、いい表情だなぁと思って」  嬉しそうに唇を緩めるから、咎める気も起きない。一瞬、なんだ、デートじゃなくて被写体候補だったのかと落ち込んでしまったけど。ごくごくとホットチョコレートを飲み込んで、胸を落ち着かせる。  大通公園内をもう少し進めば、テレビ塔の前の木が装飾されていて羽まで添えられている。前に立てばまるで、天使にでもなったかのように見えるだろう。  じいっと見つめてる私に、撮る? と言わんばかりに先輩がカメラを持ち上げた。さすがに恥ずかしいから首を横に振る。その代わり、飲み切ったホットチョコレートのカップをポケットに突っ込んで、先輩に手を差し出す。
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