山茶花

もう、我慢の限界だったのだろう、
ある夜また酒浸りになった母が私と弟たちを抱き寄せ頬を擦り寄せ
「パパは帰ってこないから、あなた達を殺して、私も一緒に死のうと思ったけど、あなた達の首を掴んだら…出来なかった。ごめんね。」と泣きながら抱きしめられた。

自分の中で何か得体のしれない感情が湧き上がる。
母親が発する言葉の意味を理解できていない
6歳下の弟、年後の弟は呆然としていた。

『私がもっと大人になって支えなければ…。』
強く思うが私はまだ小学５年生。心も体も子供で頼る大人も知らなかった為、ただひたすらに自分自身が背伸びを強いられていると感じていた。