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それから幾日か過ぎ、小春日和の日曜
いつものことながら、父は休日は家に居らず何処かへ出かけている。
幼少期から父が休日に何処かへ連れて行って遊んでくれたなどという記憶は皆無。
(ああ、今日もどっか行っちゃった…。)
と思っていた。
だからなのか、この日朝から母は頗る機嫌が悪い。
無言でありと有るゆる片付けを始めて家の敷地の砂利の上に彼女が『ゴミ』と判断する写真やら手紙のような物を積み上げていった。
その周りで弟たちと無邪気に遊んでいたが、私は物凄く気になり、遊びながら一部始終観察していた。
全て『ゴミ』と判断されたモノたちが積み上がったところで火が放たれた。
「燃やすの?」と私が尋ねると。
「うん、綺麗さっぱり。」
顔は穏やかだったので安心したが、恐らく彼女の中での清算はこれに留まらなかったのだろう…。
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