山茶花

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翌朝、7時過ぎに目が覚めた。 月曜日。 私だけが目が覚め、弟たちはすやすやとまだ寝ている。 嫌な気配をずっと感じる。 妙な違和感。 (ママが居ない…?) いつもならもう起きている時間に母親が 居ない。 父親が家に居ないのは常なのでさほど気にしなかったが、母親が朝から居ないのは今までになかったからだ。 不安にかられた私は家の外にパジャマのまま出た。 ガレージを見て母親の車を確認する。 (外には出掛けてない…。) 家の中に入り、リビング、風呂場、トイレ、子供部屋と覗いていく。 最後に普段母親が寝ている座敷へ行く。 (ここが最後。でも、なんか入りたくない。) ここに母親が居ると感じるけれど、私の足が拒絶する。 昨夜の突然目覚めた時のことを思いだした。 (死んだかも。) そう思えば思うほど、座敷に入れない…。 しばらくして弟たちが起きてきた。 「ママは?」下の弟が尋ねる。 「車、あるけど、居ない。」 感じることは同じの様。いたたまれなくて リビングに3人でいる。 8時30分が過ぎた頃、皆パジャマのまま ボーしている。 「おはようございます。」 と玄関から事務のお姉さんが入ってきた。 「アレ?今日、学校は?」と聞かれ、 皆、うつむく。 家庭が荒れていたの会社の人間は周知していたので深くは聞かないが、心配してくれる。 「お母さんが、まだ事務所に来てないんだけど、知ってる?」 と聞かれ 「車はあったけど、朝から見てない…。」 「そう、お座敷みた?」 私が首を横に振る。 「奥さーん」と呼びながらお姉さんは座敷に向かう。 彼女が座敷に入ったと思った瞬間、 「ぎゃあー!!!!!!」と叫び声が聞こえた。 「うわぁぁぁ〜」と腰を抜かし 「しゃ、社長!!!ー」と叫びながら事務所へかけて行った。 暫くして父が血相を変え自宅へ入っきた。 私達を一瞥して座敷へ入る。 次の瞬間、 「ハサミ持って来い!」と叫んだ。 「え?」と私が言うと、 「早く、早く持って来い!!」 と怒鳴った。 私は慌てて、サイドボードの引き出しからステンレス製のハサミを取り出し震えながら座敷へ向うと私の目に飛び込んだものは…
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