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【ゆっくりやっていく】
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・【ゆっくりやっていく】
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「次はCo、Ni、Cu、Zn、Gaあたりかな」
「このクズが!」
「あぁ、女子から言われたの?」
「勿論。同じ船に乗っている中華キャラクターとは別の女子から言われたんだよ。ほら、おれって女子から強く言われたいほうじゃん?」
「それは知らんけど。知りたくもなかったけども」
コイツにはもう一般入試組もファンクラブの女子も見下していたあの頃なんて無いんだろうな。
まあケガが表立ったことによって、一般入試組からも、ファンクラブの女子からも、手のひら返しされたしな。
いろいろ悠馬には悠馬で辛い過去もあるしな。
「ほら、おれってファンクラブの女子から厳しいこと言われた時にその性癖に目覚めたじゃん」
「そんな自分の暗い過去をフランクに語るなよ」
「暗い過去というか良くない過去だよな、おれは人様への感謝を忘れて驕っていたわけだから、当然の天罰+ご褒美だよな」
「女子から厳しいこと言われたことをご褒美と捉えるなよ、せめて天罰とワンセットにするなよ」
「何なら男子から厳しいこと言われても、おれのことを思ってくれて有難うって感謝しているよ、勿論陽介、オマエが一番だ!」
そう無邪気に笑った悠馬。
何この表情、何か、どこかやっぱり俺もそう言われて嬉しくて。まあ友達だから当然か。
「悠馬が間違っていたら、いつでも言ってやるよ」
「ありがとうな。でもあの頃は素直に受け止められなくてゴメンなっ」
と急にしおらしい面持ちになった悠馬。
いや、
「こんなクソみたいな話している時にあの頃の話はいいよ。俺も一般入試組のくせにいろいろ言ってうるさかっただろ?」
「でも陽介があの時にいろんな言葉を掛けてくれなきゃ、結果的にもっと大ケガしてたと思うし」
「まあそれはいろんな要素が噛みあってたまたまってことじゃないか?」
「たとえたまたまでも俺の運命を良いほうに変えてくれたことには変わりないよ、今こうやって陽介と一緒に居られることが幸せだよ。サッカー、無理になっても無理じゃないんだなって分かって、むしろ今は良かったよ」
「いやだからこんなクソみたいな話の時にこんな話しなくていいんだよ」
「おれにとってはクソみたいな話もこういう話も同じくらい大切なんだよ」
「クソみたいな話を大切にすな」
「というわけで」
と言ってまた俺がイジっている電子辞書のほうをチラリと見てきたので、
「じゃあ続きだな、このクズが! のあとが、Ge、As、Se、Br、krまでいくかな」
「ゲース! セッブルか!」
「ゲースはまあ下衆として、セッブルかって何だよ」
「接吻関係ぶるヤツか、だな」
「まあ総じてけなされているわけだな」
「そうそう、興奮展開だよな」
「俺は違うけども分かったことは分かった」
悠馬は何だかかなり良い展開になってきたぞといった感じにほくそ笑んでいる。
何がそんなに楽しいんだ、まあ別に楽しくないわけじゃないけども。
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