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杏珠の前に置かれたのは、オムライスではなく炒飯が乗っているお皿。 「ちぇめぇ、やんのか?」 「あ''?」 「あんちゃんがたべたいのは、おむらいむなの」 烏は黙って、フライパンを熱して卵を丸く焼いて炒飯の上に乗せた。 「ぁんだ、こりゃ」 「殺んのか?」 「おもてにでろ」 「表はねぇぞ」 「どこにいったの?」 「さぁな」 忍星が大好きな杏珠だから、忍星の真似をして言葉にするけど、意味は分かってないと思う。 それに既に卵が乗った炒飯を食べている。 「飯食ったら寝ろ」 「あ''?」 「殺んのか?」 「うらにでろや」 「裏なんてモンもねぇな」 「おでけけしたの?」 「あぁ」 「しかたにぇな」 烏が口元を緩めているから、きっと杏珠とのやり取りを楽しんでいるのだろう。 そんな2人を見て思う。 烏は杏珠にはやはり甘いと。
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