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ダイニングキッチンから出て羽生と杏珠の部屋を覗いて気づいた。
煌牙が羽生と杏珠の為に買ってくれた狼が出てくる絵本がない事に。
エレベーターの前には開閉門があるけど、ロックしてあった鍵が解除されている。
「忍星が教えやがったな」
後からダイニングキッチンから出て来た烏が傍に来て言った言葉を聞いた私の口角が僅かに上がる。
「教えたとしても実践するのが杏珠らしいね」
「確かにな」
きっと杏珠を捕まえる為に大和や涼、それにメンツ達は走り回っているのかも。
思い出すのは、初めて忍星が脱走した時の事。
確か5歳の時だったはず。
なら、杏珠が同じ事をしても不思議ではない。
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