276人が本棚に入れています
本棚に追加
煌牙の部屋を出てダイニングキッチンに移動すると、羽生が椅子に座り知恵の輪をしていた。
「杏珠は?」
「忍星」
それで終わったやり取り。
知恵の輪をしている時は、話しかけられるのを嫌う羽生はマイペースだ。
「煌牙と何を話してたの?」
「5階の空き部屋に小さな家を作ってくれと頼まれた」
「そうだね。そしたら脱走しないかもね」
ガスコンロの前に行き、下味した鶏肉に小麦粉と片栗粉を混ぜた物に馴染ませ、唐揚げを揚げていく。
玲は、ポテトサラダを器に入れている。
どうやら、玲にはバレてねぇみたいだ。
明日からまた忙しくなるがそれも悪くねぇ。
なんて思う俺は予想していた。
5階に小さな家を作っても、杏珠は脱走するだろうと……
最初のコメントを投稿しよう!