(14)

4/22
前へ
/578ページ
次へ
「てめぇは、そっちだ」  フルスモークの黒のベンツから降りた私に、先に降りていた烏が、ある場所を指さしてそう言った。 烏は、私から離れて歩いて行くから、目の前に見えるドアに向かって歩く。 どうしたら良いのか? そう思いながら、足を進めて行くと、中からドアが開いた。 「久しぶり。元気にしてた?」 ドアを開け、私にそう問い掛けてきたのは、貴島百合。 「ご無沙汰しています」 頭を下げた私に『良いのよ』と言ってくれた貴島百合は、相変わらず、柔らかく微笑む人。
/578ページ

最初のコメントを投稿しよう!

235人が本棚に入れています
本棚に追加