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「アイツ等、うるせぇ」 貴島組からの帰りに、烏がそう口にした。 「それどう言う意味?」 「孫達を早く会わせろだとよ」  私の問い掛けに答えてくれた烏に『ありがとう』と言う。 私が何に対して礼を言ったのか、烏は分かっているみたい。 それが分かるのは、黒のベンツの後部座席に座る私の手を繋ぎ、親指で撫でてくれるから。 それは烏の愛情表現。 不器用な優しさ。 烏は、貴島組を変えようとしている。 それは、我が子の為であり、私の為だと思えた。
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