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「お母さん、お袋って呼んでもらえたのなら、お母さんも名で呼んだ方が良い。 私は、母親だから分かる。 母親に名を呼ばれた時、子供達は嬉しい顔をするの。 今は、もう厳しく言う人は居ない。 それに、私も居るから、お母さんも前に進みましょう」 私の言葉を聞いた貴島百合の瞳から涙が溢れ出す。 『玲ちゃん、ありがとう』と礼を言った貴島百合の身体を、そっと抱きしめた私。 烏は、とても不器用。 言葉数も少ない。 それでも、烏は父親になり、母親の気持ちが分かったから『お袋』と呼んだはずだ。
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