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「玲ちゃん!」 涼の声が聞こえたけど気にせず、目の前にある木によじ登る。 枝を綱渡りのように歩き、思い切りジャンプし、空中回転してから、貴島組の塀の外に着地した。 私は、方向音痴かも知れない。 だけど、母親だから羽生の気持ちが分かる。 煌牙と離れる事を良しとしない羽生は、煌牙を追いかけて行ったはずだ。 そして羽生を追いかけた杏珠。 羽生と杏珠の気持ちは、烏だって分かっているはず。 “許せない” 初めて烏に湧いた感情。 羽生と杏珠が見つかるまで、烏には会いたくない。と思う私は、貴島組に背を向け、本能のまま駆け出していた。 だから知らなかった。 アヤナミのボスである久保田が、刑期を終え刑務所から出て来ていた事を……
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