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「ハァー……」
佐々木との通話を終えたナツはその場にしゃがみ込む。
「あんの馬鹿……!」
あれだけナツが忠告したのに、アキはカミシロ山へと向かった。
佐々木はアキが走って行った方面をナツに言っただけだが、ナツにとっては確信になりつつあった。
学校へは忘れ物を取りに戻った、提出物を出しに行った。
よくある理由だが、それをするのに数時間もかかるわけがない。
アキと安田が誰かの家へ遊びに行って、親へ連絡するのを忘れていたとかなら此処まで話が広がることもない。
中学校の指定ジャージを着て歩いていたら、補導とまではいかなくても目撃情報が多数あるはずだ。
安藤と佐々木の話だけで推測すると、帰宅後のアキと安田の姿を見た者はいない。
佐々木がアキと見間違った可能性もなくはないが、小学校から知ってる仲だ。
佐々木の情報は間違いないだろう。
「勘弁してくれよ……」
家へ帰って来ないアキ。
今朝、登校してからナツはアキに会ってなかった。
双子だから学年は同じでも、二人はクラスが違う。
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