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たまに体育や音楽などで合同授業があるが、1組と3組が一緒になることは殆どない。
「マジで何やってんだよ……」
アキが帰って来ない。
それがナツを不安にさせた。
『万夏、秋乃。おやつ買って来るから良い子で待っててね』
6年前、そう言って家を出た来々美。
『行ってらっしゃい』
ナツとアキは声だけ掛けて、見送りはしなかった。
来々美の顔は見なかった。
ナツの視界の端に映ったのは制服を来た来々美の後ろ姿。
それが最後に見た来々美の姿だった。
来々美は家へ帰って来なかった。
「姉ちゃん……」
アキのことを考えながら、ナツは来々美のことを思い出す。
自分の兄弟が行方不明になる経験をする人間はほんの僅かだろう。
成人済みではなく、未成年の場合はもっと少ないだろう。
6年前、ナツとアキは小学2年生だった。
行方不明になった来々美は中学二年生だった。
今のナツとアキは当時の来々美と同じ年になった。
「やめろよ……やめてくれ……」
6年経っても、姉の来々美はまだ帰って来ない。
今度は妹のアキが帰って来ない。
ナツの不安は増していく、
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