ゆきにのこる

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 遠く遥かにどこまでも続く二人分の雪の足跡。どんなに吹雪いても消えることはなく続いている。それは愛のあかしになっているのかもしれない。  この世界のどこかとは違うのかもしれないところ。もしかしたら時代が違うだけなのかも。それでもどこかが違っているがそれは昔の話になる。  高い山に裾野に広がる平野の一部に城壁を要する立派な街がある。季節は冬。この辺りにも雪の季節が訪れていた。 「歩こうか」  男女が手を繋いで、男のほうが言うと二人は歩き始めた。  二人は恋人。だけど、その仲を許されずにこの場所にいる。  出会いはとても幼い時に遡る。物心の付く前からの知人で親しい仲。 「僕は勇敢な戦士になるんだ」 「じゃあ、お姫さまの私を守ってね」  こんなやり取りを交わしてお互いに頬を赤らめる日々もあったのだが、それはあくまで幼い頃の話。  その頃の宣言通り男は戦士となった。国のために勇敢に戦い、敵兵を恐れない。国で一番の戦士と呼ばれるくらいに。  とあるとき戦士の男は国王に呼ばれ「近衛兵師団長に任ずる」と戦士としては国で一番位の高い称号を与えられる。これで名実ともに一番勇敢な戦士となった。  そのときに久し振りに再会したのはかの女の子。国王の横に並んで綺麗なドレスを着ている。一般市民には間近で見るのも難しい人物。  二人の年齢はまだ少々若いが、この国では十分に大人で同年代では結婚するものも少なくない。  そんなときの再会。ラブロマンスに落ちるのが当然のような気もするが、そうも易々と物事は進まない。
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