死期

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 木々の間から漏れる太陽光に目を細めた。 「一緒に葬ってもらえるようにしてあるよ」 「はい。私は安田さんと共に居ることを望みます。たくさんのことを教えてもらいました。話に聞くとこのようなマスターはいないそうです」  私は頬を緩め「皆、間違っているんだよ。機械にだって気持ちはあるのだ。違うかい?」と問う。 「安田さんが心を教えてくれました。元々機械に気持ちがあるのではなく、感情を教えてくれたのだと思っています」  そこでA2Cは私を見て、私の手を取った。一見互いに人間のようだが、A2Cの手は冷たい。 「安田さんの死を思うと、私の回路は上手く働かなくなります。これが悲しいという感情なのですね」  冷たい手を握りしめて、それから二回優しく叩く。 「死ぬのも悪くはないよ。もう痛みを感じることもない」 「はい。痛みですね。それはとても辛いことだとわかります」  A2Cの沈んだ顔を見ると、そこに血が通っていないのが不思議なほどだった。まるで人間のようだ。私はこのアンドロイドが我が子のように愛おしい。 「さて、そろそろ寝ようと思うよ。手伝ってくれるか」  A2Cがすくっと立ち上がり、私の車椅子に手を置いた。 「この紙を遺言というのだ。私が死んだら弁護士に見せなさい。遺言を書くことは話してあるから見せればわかる」 「はい」
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