奇跡は繰り返される

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 出会った瞬間、静電気が走った。  私はこの人と会ったことがある。  私は心臓が脈打つのを感じながら彼を目線で追った。  私はまだ、彼の名前もしらない。  でも私は確実に、彼を知っている。  出会った瞬間、静電気が走った。  僕はこの人と会ったことがある。  僕は妙な興奮感に包まれながら彼女を目線で追った。  僕はまだ、彼女の名前も知らない。  でも僕は確実に、彼女を知っている。 「「あっ」」  私が本に手を伸ばした時、二つの手が重なった。  私はそのぬくもりに思わず相手の顔を見つめた。  それは私がきっと知っている彼だった。 「あ……」 「ど、どうぞ」  彼は私に本を差し出してきた。  その仕草も、声も、優しさも。  全て私は知っていた。 「「あっ」」  僕が本に手を伸ばした時、二つの手が重なった。  そのぬくもりに思わず相手の顔を見つめた。  それは僕がきっと知っている彼女だった。 「あ……」 「ど、どうぞ」  その顔も香りも謙虚さも。  全て僕は知っていた。
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