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「無事、仕事納めですねー。じゃ、乾杯!」
12月29日の夜。振り返ってみれば、なんてことのない一年間。ふたまわりほど年齢が違う後輩と、少しシャレた居酒屋の席でグラスを傾ける。
私たちのいる部署は小規模で、女性は二人だけ。これもある意味、女子会というやつなのだろう。
「一年ってあっという間ですね。そういえば今年は26日に雪が積もりましたね。もう少しでホワイトクリスマスだったのに」
「そうね……」
ホワイトクリスマス。この言葉こそ、私の心の中にずっと引っかかり続ける言葉なのだ。
「だって、ホワイトクリスマスですよ? わくわくしますよねぇ」
「まぁ、そうね……」
「先輩、さっきからそっけないですね。ホワイトクリスマス、嫌いですか?」
「あっごめんね。そうみえる?」
「というか、26日に雪が積もったときから、なんかいつもと様子が違ってましたし。となりの部署なんか、昼休みにみんなで外に出てはしゃいでましたよね。でも、先輩だけは、なんだか物憂げというか……」
しまったな。あんまり気にしていないつもりだったのに。人からはそうみえていたんだ。
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