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白いブリーフ
「なあ、トイレ」俺はいった。
「なんだい?」トイレはいった。
「俺、小学生の頃、マラソン大会のとき、なぜかおならがとまらなかったんだよ」
「走っている最中にかい?」
「ああ、俺は走りながら、おならを出し続けたんだ。ゴールまでね」
「ゴールまで? ゴールまで、おならがとまらなかったということかい?」
「そうさ。なんかすごいことだろう?」
「うむ、なんかすごいことだね」
「なんかすごいことだなと思って、ゴールしたときに、後ろを走っていたやつに、おならのことを話したんだよ」
「ほお、それで?」
「そうしたら、そいつは、こういったんだよ。走っている最中に、ずっと、ぷっ、ぷっと、変な音が聞こえていたから、何の音かと思っていたのだけど、そうか、おならだったのかって、たまげていたよ」
「そりゃあ、たまげるよ。確実にたまげるね」
「たまげるだろう? でも、真の意味でたまげたのは、うちへ帰ってからさ」
「どういうことだい?」
「うちへ帰って、お風呂に入るときに、ブリーフを脱いだんだけど」
「昔の子供はみんな、白いブリーフをはいていたよな」トイレはいった。
「そうそう」俺はいった。
「みんな、白いブリーフをはいていたよ。その懐かしい白いブリーフにね」
「うん、その懐かしい白いブリーフに?」
「穴が空いていたんだ」
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