雪の再会

　前の車のハザードランプが点滅した。
　私もアクセルを緩め、ゆっくりとスピードを落とした。ハザードランプを点滅させ、ブレーキを踏む。
　渋滞になるだろうとは思っていた。
　朝から雪はちらついていたが、昼過ぎには本降りとなっていた。こんな時、チェーンをつけずに運転を開始するドライバーが多いので、事故も多い。
　高速道路に入ったのは早く会社に戻りたかったからだが、失敗したかもしれない。
　じわじわと動いていた車の流れが完全に止まってしまった。
　フロントガラス越しの世界は真っ白で、景色だけは美しい。
　しばらく待っていたが、動きそうにないので、シフトをパーキングに変更した。
　矢野部長へ帰社が遅くなると連絡を入れた。
「ニュースになっているよ。高速道路で立ち往生。いやあ、もう、会社に戻らなくていいから。無理しないで、遅くなったら、近場で泊まって。宿泊費は会社もちで」
　確かに抜け出せるのが何時になるかはわからないが、この街で泊まる気は無かった。
　中学時代の嫌な思い出しかないこの街では。