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「お前もよく頑張ってたよなー。その身体で」
俺は高校の頃を思い出し、和真に声をかけた。
俺は実業団に入団して、格の違いを見せつけられた。パワー、スピード、テクニック。全てにおいて、俺の能力を上回っていた。
そんな時、いつも頭には和真がいた。
俺たちはそこまで仲が良い訳ではなかった。3年次は同じクラスになったものの、一緒につるむのは部活の時だけ。
しかも、俺はレギュラーで和真はサブだったから、ほとんど一緒にプレーしたことはなかった。
「お前、辞めようと思ったことなかった?」
今日ここに来た本当の目的。
和真に当時のことを聞きたかった。
ダントツで足が遅く、シュートもパスも一般の生徒と変わらない。ダッシュも持久走も、いつもビリ。おまけに、後輩からはどんどん抜かれていた。
それでも彼は辞めなかった。諦めなかった。
いつも試合に出るのはサブメンバーでの練習試合だけ。1度だって大会のスタメンに選ばれることなんてなかったのに。
何がお前を突き動かしていたんだ?
それを知りたかった。
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