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1. 運命はすぐそこに
俺は、山ヶ岬高校の高校2年生だ。
代々受け継がれている掟には、もう懲り懲りだ。
そんな事を考えながら、窓から見える校庭を見下ろしていた。
外では、サッカーをしている友達やハードルを飛んでいる人達が汗を拭っているのが見える。
「はぁー、俺にも何かいい事が起きてくれないかなー。」
俺の独り言は、放課後の教室に飲み込まれていくようだ。
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私は、山ヶ岬高校の2年。けれど、もう少ししたら転校をする事になっている。
正直、転校するのは嫌だ。でも、新しい出会いがきっとあるかもしれない。だから、私は花ヶ崎高校に行く事を決意した。
今日は、花ヶ崎高校の2年3組に転入当日。
うっっ、緊張してきたー。
どんな子達がいるんだろう?
友達は出来るのかな?
そんな事を考えながら、花ヶ崎高校の大きな正門をくぐり抜ける。
山ヶ岬高校よりも広い校舎は、クリーム色が程よく塗装されていて綺麗だ。
思い足取りで、階段をゆっくりと上り職員室へと向かう。
コン、コン、コン
と、扉を叩き担任の篠田先生に挨拶をした。
「ご無沙汰しています。改めまして、今日から2年3組に転入してきました、空野姫和と言います。よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げる。すると、篠田先生が微笑み、
「そんなに、固くならなくて大丈夫だよ。今日から、よろしくね空野さん。」
と、優しく話しかけてくれた。
「早速だけど、教室に行って皆と合流出来そうかな?
もし、無理そうだったら学校の詳しい説明だけを聞いてもらって下校になるかな。」
「うーん。少し緊張するけれど、合流します。」
「分かった。じゃあ一緒に行きましょうか。」
「はい!」
と、元気よく返事を返した。
職員室を出て、左へ真っ直ぐ廊下を進んだ。
「空野さん。落ち着いて、大丈夫だからね。
よし、それじゃあ、入りましょうか。」
「は、い。」
ガラ、ガラ、ガラ
ゆっくりと篠田先生の後を続いて、クラスへ入る。
皆の視線が痛いほど、刺さってくるようだった。
「はーい、皆さん。今日から、このクラスに転入してきた空野姫和さんです。じゃあ、自己紹介をしてもらいましょうか。」
「は、初めまして。山ヶ岬高校から来ました。空野姫和です。早くこのクラスに馴染めるように頑張ります。
よろしくお願いします。」
パチ、パチ、パチ
皆が笑顔で拍手をしてくれた。とっても嬉しくて思わず微笑んでしまった。
「空野さんの席は1番後ろの、瀬戸内さんの隣です。」
「はい。ありがとうございます。」
私は、足早に自分の席に着いた。まだ、慣れない椅子にモゾモゾする。
でも、良かった、やっと落ち着ける。
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