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 天使は誰もが同じ様な容姿をしているとも限らないし、人間と同じ様に性格も含めて個体差が存在している。何もかも全て同じという個体が何度でも生み出されるとは限らない。 「……私達は天使であって、同情というのは人間がするものだと思ってた」  同じ仲間が居なくなる。寂しくなる。  悲しくて涙を流したり、そんな行動心理があるのは人間だけだと、少女の天使は考えていた。 「天使だからだよ」 「? 人間とは違うのでしょう?」 「そうだ」 「じゃあ、何で?」  個体差が存在するという点を除けば、感情によって起こす行動は、天使と人間、それぞれ違いがある。  人間が喜んだり、怒ったり、泣いたり、笑ったりするのは心があるから、それによって行動が変わる。  天使は天使ならではの行動規則が存在し、それはカミサマに寄って定められている、と彼女はまた考えている。 「……天使とは、消えて居なくなる者に対して種族問わず、慈悲の手を差し伸べる」  消えていなくなる者は、敵として戦った影も含まれる。誰にでも譲れない正義があり、それを守らないといけないが故に苦しみ、元々刃を交えたくてやったつもりではないかもしれない。  ならば天使の私達がやる事は、消える者に対して慈悲の手を差し伸べる事だと、仲間の天使は述べる。 「……カミサマがそう決めたの?」  少女の天使は面倒臭そうにして分かろうとしなかった。天使の在り方について、疑問が拭えないでいたからだ。 「それもそうだが、元々は面倒な事に、人間からそう崇められているからだ」 「……変なの。人間は此処には居ないのに」  人間はなんて身勝手なんだと彼女は嘆いた。  天使の在り方を頼んでもいないのに勝手に決められて、どうしてそれに従わなくてはいけないのか。人間の居ないところでも気を遣わないといけないのか。
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