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「ノエル君」
「……ん?」
男の子の声がした。
一人は少し低い声で、もう一人は少し高い声だ。
その場所は本来であれば、誰にも辿り着けない。
雪の様に真っ白で何も無さそうで、何も無いという訳では無い。遠くから見たら何も無い様に見えるが、近付いてみたら何かがあった事に気付く様な、そんな空間だ。
だからといって季節が冬とは限らない。
「人間であるからこその君に一つ聞いても良い?」
少し低い声の主は、ちんちくりんなお子様の低身長、セーラー服の様な服と短パンと黒いタイツに、身長より長い丈のマント、後れ毛が左右に長い金糸の髪から少女の様な容姿をしている。しかし人間とは掛け離れた高貴な存在だ。……らしい。
「答えられる質問なら、ね」
ノエルと呼ばれた少し高い声の主は、眼鏡以外に中々これといった特徴の無い人間の男の子だ。あるとすれば、本をよく手にして人前にも拘らず、よく読んでいるくらいだろうか。
逢瀬とは、愛し合う二人でなのでそれとは違う。
二人は兎に角、周りに内緒で会っていた。──お互いに違う種族だからだ。
「──普通って、何だろうね」
少し低い声の主は疑問に思っていた。
普通とは、ノエルの様な男の子を指しているとしたら、尚更詳しいのではないかと安直に考え、疑問を彼に投げ掛ける。
「唐突に難しい質問出すなよ」
「そうなの? 人間だから答えられるものだと思ってたよ。あと本をよく読むじゃない?」
彼に疑問を投げ掛けた決定的な理由とは、後半のそれが主だとも。前半の理由はよく分からない。
しかしノエルは考え込みながら、少し低い声の主──カミサマに答える。
「普通……当たり前?」
「面白くない答えだなー」
「分からないものなんだよ、普通って……」
ふと側に咲いている花がノエルの目に入った。
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