ハットトリック

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ハットトリック

「こっちだ!」 俺はチームメイトに叫んだ。 信頼する仲間は俺に向かってボールを蹴る。 位置はドンピシャ、俺はサッカーボールを足で受け止めた。 そして流れるようにドリブルしながら走り、敵のディフェンスを抜いていく。 真っ青な空に熱い太陽…… 髪から大量の汗が地面に滴り落ちる。 俺は相手のペナルティエリアに侵入し、思い切りボールを蹴った。 ボールはゴールの右端に突き刺さる。 ネットからポトリと落ちたボールを見て、俺を含めたチームメイトたちが歓声をあげた。 シュートの成功を誉めてくれる彼らに手をあげて俺は振り向いて走り出す。 思わず俺はベンチをチラリと見てしまった。 浅黒く焼けた肌の華奢な体の後輩、晴矢(はるや)が俺に向かって手を振っていた。 俺は微笑みながら小さくガッツポーズをする。 晴矢はクスクスと笑っていた。 その笑顔が直視できなくて俺は前を向き直す。 どうにも……あいつの顔を見ると照れ臭くなり緊張してしまう。 今は試合中だ、集中しなければ…… そんなことはわかっているのに、俺はもう1度晴矢の笑顔を視界に入れてしまった。
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