après cela.

3/5
前へ
/25ページ
次へ
 触れれば思いのほか熱を帯びた肌は滑らかで、普段の硬質なイメージのロランからは想像もできない。下腹に熱がわだかまるのを感じて、ガブリエルは苦笑を漏らした。 「俺が男相手に欲情するとはね……」 「意外ですか?」 「まあ、それなりに?」  偏見はない。けれど、自身が()()だとは思いもしなかった。 「ロランは、男しか興味ないの?」 「そうですね。ですが、さすがにあなたのように若い方を前にすると、少々委縮してしまいます」  そう言って、ロランは綺麗に割れた腹筋を指で辿った。 「良い躰です」 「気に入った?」 「ええ。とても」  未だ養父であるフレデリックには勝てる気もしないが、それなりに鍛えている自信はガブリエルにもある。  筋肉の陰影をなぞるように動く細い指を、ガブリエルはみるともなく眺めた。くすぐったいような、気持ち良いような、妙な気分に駆られる。  腹筋をなぞる指が、下生えにかかる。髪と同じ色の薄い茂みから反り勃った雄芯を撫でる仕草は、まるで愛しむようでもあった。 「お若いですね」 「否定はしない。てか、あとで泣いても知らないよ?」 「覚悟しておきましょう」  案外真面目そうに言われてしまい、ガブリエルは笑いを零しながら上体を起こした。横たわるロランへと、覆いかぶさるように両腕をつく。  そのままじっと見つめていれば、やはりロランは恥じらうように視線を逸らせた。 「その顔、結構好きかも」 「年上を揶揄うものではありませんよ」 「揶揄ってる? 可愛いって言ってるつもりなんだけど?」 「っ……」 「良いね。そういう顔、もっと見せてよ」  ガブリエルの口付けを、ロランは抵抗することなく受け入れた。合わせられた唇の合い間に吐息が漏れる。 「っ、……ん」  控えめな声が耳に心地良い。幾度も角度を変えて口腔を貪ったガブリエルは、長い口付けの後に顔を上げた。  僅かに上気した頬と薄く開いた唇を満足そうに見遣り、首筋へと顔を埋める。うなじを軽く吸い上げれば、微かな嬌声が聞こえた。 「感度も良いね」 「また、あなたはそうやって……」 「揶揄ってないって」  軽く口付けるガブリエルに、ロランは些か困ったような表情を浮かべる。 「ベッドの上では俺、本音しか言わないから覚えておいてよ」  耳朶へと吹き込むようにロランに低く囁いて、ガブリエルは熱い首筋を舐めあげた。 「ッあ」 「声も、喉がかれるまで啼かせるつもりでいるから、覚悟してね?」  首筋から鎖骨を伝い、薄い胸板を唇で辿る。ふくよかなふくらみがない躰に、つぷりと小さく尖った突起が余計にいやらしく見えた。  ――なかなか新鮮だな。  小さな粒を唇で挟み込む。同時に膝を強引に脚の間に割り込ませれば、腕の中の躰が僅かに強張った。太腿に、硬いロランの主張を感じる。 「強引にされる方が好み?」 「っ、違……っん」  最後まで言わせることもなく、胸の突起を舌先で圧し潰す。堪えるように寄せられた眉と、あえかな吐息を零す唇が色っぽかった。 「ん……ぁっ、あッ」  堪えるような低い声に、時折り雑じる女にも似た高い嬌声が耳朶を擽る。もっと、啼かせてみたいと。 「ロラン、後ろほぐすから脚上げてくれる?」 「ッ……は、ぃ…」  羞恥を浮かべながらもロランはおずおずと片足をあげた。僅かにあがった膝の裏を、ぐいと持ち上げる。露わになった秘部を束の間見遣り、ガブリエルは脱ぎ去った服へと手を伸ばした。 「ぅっ、……く、……ガブリエル…?」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加