私が告白したら彼の家族が離婚した話

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雪が降ったら、毎日することがあるの。 それは、彼の家にある車のガラスにね、 「好き」って書くこと。 降り積もった雪をキャンバスにして、 小さく「好き」っていう文字だけを書く。 とある少女漫画でやっていたのを見て、 素敵だなって思ったの。 だから真似してやってみた。 朝早くに起きて、気付かれない内にさっと書いて、 そのまま何食わぬ顔で学校へ行く。 気付かれなくたっていい。 ただ、ちょっとだけ彼が雪の日を楽しみにしてくれたらいいなって。 それだけで続けた。 ある日。彼の苗字が変わった。 佐々木から佐藤へとなった。 親が離婚をしたそうだ。 彼は確かにここ最近テンションが低かったけど、 それが原因だったんだろうな。 なんて可哀想な彼。 私の好きのメッセージが少しでも心の支えになったらいいのに。 そう思いながら、今日も近くで話していた彼の会話を盗み聞きをする。 「離婚だって。大変だったな。」 「まあな。何か、父さんが浮気してんじゃないかって母さんが詰め寄ってさ。」 「え、マジで!?」 「父さんは違うって言ってんだよ。でも、雪の日になるといつも車のガラスに『好き』って書いてあって、あれ父さんの車だからおかしいってさ。」 「そんなの、ガキのいたずらとかじゃねーの?気になるなら防犯カメラとかつけたら良かったじゃん。」 「そうなんだろうけど、母さんは母さんで最近浮気してたっぽいし、 慰謝料とれるからちょうどいいと思ったんじゃないの。」 「大人の世界ってこえーな~。」 「いつも巻き込まれるのは子どもなのにな。」 えぇ、嘘…私の彼への愛のせいで、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったよ…。 別に彼を不幸にしたいとか思ってなかったし、私だってびっくりしてるんだよ? だって、だってこんなの…
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